時間が迫る男と女
前回の続きです。30歳前後の既婚者A子と20代半ばのB君。
「結婚してる人って、もっと起きるの早いんじゃないすか?」
「私はかけもちで、いろやってるから、なかなか起きられなくってさ~。早く起きるように、いつも練習してるんだけど」
「練習(かよ)!」とツッコむかのようにB君は笑い、少々大人びた口調になってつけ加えました。
「僕は5時半じゃないと間にあいませんよ」
「へえ~」
だいぶ格下感をもたれて話しかけられているA子。気づいているのか、いないのか。
やがて、帰らせたくないA子は、ふたりに別れの時間が近づいていることを、だんだん意識しはじめます。なんだか急にしんみりした口調になって言いました。
「パートの○○さん、1カ月で辞めちゃったね~」
「定着しませんよね」
「なんでなのかなぁ~」
「それはやっぱり、みんないろいろあるんじゃないすかね、給料とか、仕事きついとか。あ、そうだ、A子さん!」
「なに?」
期待の目を輝かす女。
「A子さん、給料いくらもらってるんですか?」
露骨にがっかりするA子。
「そんなこと言えないも~ん……」
既婚者A子、年下男に甘えるような口ぶりをしています。悪い女ですね~。
「いくらもらってるんですか?」
「え~ほんとぜんぜんもらってないよ~」
「いや、だからいくらなんですか?」
生臭い話になってまいりました~。B君、なかなか俗いっぽい~。